「お土産」の読み方で迷ったことはありませんか?
旅行の思い出作りに欠かせないお土産選び。実は、この「お土産」という言葉の読み方をめぐって、「おみやげ」と「おみあげ」のどちらが正しいのか議論になることがあります。
最近では、SNSでも「おみやげ」と「おみあげ」の使い分けについて話題になることが増えてきましたよね。
今回は、その語源や由来、さらに地域による読み方の違いまで、詳しく解説していきます!
「おみやげ」と「おみあげ」の語源と正しい読み方

「お土産」という漢字からは、一見して「おみやげ」という読み方が導き出せませんよね。
実は「土産」という言葉は、もともと「その土地でとれる産物」という意味で、「とさん」や「どさん」と読まれていました。北海道では今でも「どさんこ」という言葉が使われているのは、この名残かもしれません。
一方で、「みやげ」という読み方は「見上げ(みあげ)」が転じたものなんです。これは「よく見て選び、人に差し上げるもの」という意味が込められています。
さらに、「みやげ」の語源には別説もあります。平安時代に存在した「屯倉(みやけ)」という朝廷の地方施設が関係しているという説や、「宮笥(みやけ)」という神社の供物を入れる器に由来するという説もあるんです。
つまり、現在私たちが使う「お土産」は、「みあげ(見上げ)」という言葉に「土産」という漢字を当てはめた当て字だったんですね。
では、現代では「おみやげ」「おみあげ」のどちらが正しいのでしょうか?
実は現在の辞書には「おみやげ」しか掲載されていません。語源は確かに「おみあげ」なのですが、現代の標準的な読み方としては「おみやげ」が正解とされているんです。
地域によって異なる!?お土産の読み方と方言文化

興味深いことに、日本の各地域では「お土産」の読み方に違いが見られます。
例えば、関西の一部地域では今でも「おみあげ」と読む傾向が強いと言われています。特に年配の方々の間では「おみあげ」という読み方が親しまれているようです。
私の祖母も京都出身なのですが、「おみあげ買うてきたよ」と言うのを聞いて、初めは違和感を覚えたことを覚えています。
地域ごとの読み方の特徴を見てみましょう:
・関西地方(特に京都、大阪):「おみあげ」が一般的
・九州地方:「おみげ」と略して呼ぶ地域も
・東北地方:「おみやげ」が主流だが、高齢者は「おみあげ」も
・関東地方:ほぼ「おみやげ」で統一
・中国地方:地域によって「おみやげ」「おみあげ」が混在
このような地域差が生まれた背景には、その土地特有の歴史や文化が関係しているかもしれません。
お土産文化の始まり~お伊勢参りとの深い関係~

お土産の文化は、実は江戸時代のお伊勢参りから始まったと言われています。
当時、お伊勢参りは庶民の夢でしたが、遠方からの参拝は大変な出費を伴うものでした。そこで考え出されたのが「お伊勢講」というシステム。
講のメンバーからお金を集め、代表者がお伊勢参りに行き、その際に仲間へのお礼として持ち帰ったのが「宮笥(みやけ)」でした。これは神社でもらうお札を貼る板のことで、これが現代のお土産文化の始まりとされています。
その後、伊勢神宮の周辺には特産物を売る店が並ぶようになり、宮笥以外のものもお土産として買い求められるようになっていきました。
現代のお土産文化と地域性~SNS時代における変化~
現代のお土産文化は、SNSの影響を強く受けています。
インスタ映えする商品や、その土地でしか買えない限定品が人気を集めるようになりました。例えば:
・東京駅の限定パッケージの東京ばな奈
・博多の通りもん
・沖縄の紅いもタルト
・北海道の白い恋人
などが代表的です。
特に最近では、「自分へのお土産」という概念も一般的になってきました。旅の思い出として、その土地の特産品を自分用に買って帰る人が増えているんです。
また、お土産を選ぶ際の基準も変化してきています:
1. 見た目の可愛さ重視
2. SNSでの評判
3. 日持ちの良さ
4. 職場での配りやすさ
5. 地域の特色
特に、職場でのお土産文化は日本特有のものかもしれません。海外では、必ずしも職場の同僚全員にお土産を配る習慣はないそうです。
さらに、最近では「お土産」という言葉自体の使い方も変化してきています。例えば:
・「おみやげフォト」(旅の思い出写真)
・「デジタルおみやげ」(旅先で撮影した動画やデータ)
・「体験おみやげ」(その土地での体験や思い出)
など、物理的なお土産だけでなく、様々な形でお土産の概念が広がっているんです。
まとめ
このように、「お土産」という言葉と文化は、時代とともに進化し続けています。読み方の違いもまた、日本の豊かな言語文化の一つとして捉えることができるのではないでしょうか。
当たり前のように使っている「お土産」という言葉ですが、その背景には様々な歴史や文化、地域性が隠れているんですね。次回旅行に行くときは、その土地ならではの呼び方や、お土産文化にも注目してみてはいかがでしょうか?
きっと、新しい発見があるはずです!